toi

話しづらいひとりごと

2016-01-01から1年間の記事一覧

夜と朝の間、開け放った窓から深い藍色と 灰色の光線が一筋だけ窓から差し込み、冷えた風が吹き込みます。孤独な時間のまどろみはひどく寂しくて幸福です。見たことがないのに懐かしい風景を思い出すようです。

雑記_思考と季節と自我

ガラスのコップがある。 触れると、ひんやりと冷たい。 溶けだした氷が水に浮いている。透明度の高いそれは限りなく水に近い色をしているのに、目は水との境目を認識している。 針先のように細かい水滴がガラスの表面を覆っているが、触れたことで二粒の大き…

雑記_words

定義された言葉の意味と、それを実際使うときの人の心情は重ならないことも多々あるので、音としての言葉と、意味としての言葉は変わってくるのではないかと感じる。 ここ十数年、『ありがとう』という言葉と同じ手軽さで『死にたい』と言う人がとても多い。…

雑記_夏日

地下鉄に乗ろうと思った。 コンクリートが大口をあけてわたしを待っている。 階段を一段降りるごとに、冷凍庫みたいな風がわたしを冷やす。 きづけば、全くの無音。 あまりの静けさに驚き口を開くと、こぽりと水晶みたいな泡がくちびるからこぼれた。 ああ、…

雑記_くゆらす

昔からひみつの多い子どもだった。 内に潜む矛盾に微妙に苦しみながらも楽しい毎日。 (仄暗く狂ったものに 聖性を感じるものに 冷めた表情に 普遍的なものに ほどけない謎に 深い思考に 気だるい仕草に 繊細なうつくしさに) 5歳の少女だった頃からいつだって…

雑記_影

願わくば あの音のなかで あなたともう一度出会いたい。 あぶくのような思考がはじけて消える。 色あせる音と色とかおりの中 言葉だけは確かに残る。 出会い言葉を交わしてきた たくさんの人の影が浮かんでは消える。 多くを知り すべてを懐かしみながら 私…

雑記_me_1

透明な水色の香はどこまでもすきとおる。 わたしはスミレ色のよう。 貝の血液はうつくしく首もとをかざる。 よくしゃべる沈黙と 掬い取れそうな陽光のひと粒ひと粒。 反射する琥珀の檸檬色。 ミントのような風。 永遠に続きそうな高速。 螺旋階段のように続…

雑記_残香

男女も美醜も関係なく 白く細い首すじを見るとドキドキしてしまう。 美しさというのは部分的に宿るのかな、と思う。 ひかりに透けた、瞳の色。 くちびるの薄さ。 伏せたまつげの繊細さ。 くちもとを覆う指先。 切りとることのできない、刹那的な色気が一等う…

雑記_フロイト

あなたは魅入られていた 癒えない傷がいたむのか逃亡と破滅のあまさに心を奪われ自傷行為のようにアルミ缶に入ったあまい薬を飲み込む 呑み込まれながらあなたはわらう焦点の定まらない瞳がわたしをみつめる 何とも言えないかなしみが私をぐるぐるめぐる夜が…

雑記_朝

光やわらかな粒子を浴びて呼吸するわたしの中を重くて軽いそれらがめぐる 音すべてがいきているあざやかな波のなか 朝 終わることがわかっている1日が始まった合図それなのにどうしてこの音と光にはしあわせばかり感じる

雑記_記憶

私はどういうわけか過去の記憶があまりない。断片的な画像が頭の奥の方に散らばっている程度だ。拾い集めてみても少し埃がかぶっているようにぼやけているし、何より前後のつながりが見えず、いつの、何の記憶なのかわからなかったりする。もはや事実なのか…